お薬による治療を前向きに続けるために

多発性骨髄腫の薬物療法

Q2.
薬物療法を受ける患者さんと薬剤師の具体的な関わり方を教えてください。
A2.
医師が選択した治療法を患者さんが確実に継続できることが大切ですので、治療開始前のスケジュール提案から治療開始後のフォローまで、幅広い支援をしています。

多発性骨髄腫の薬物療法では最近、新しいお薬が増え、治療選択肢が広がりました。したがって、多くの選択肢のなかから医師が選択した治療法を、患者さんが確実に継続できるよう、薬剤師が支援することはとても大切だと考えています。支援の1つに、医師と相談しながら個々の患者さんごとに治療スケジュールを作成することがありますが、その際、薬剤師の視点から、患者さんの体の状態に対してお薬の量が適正かどうかを確認しています。また、“内服の治療がよい”、“通院の頻度をなるべく少なくしたい”など、患者さんの声を早目に聞き取って医師にフィードバックし、患者さんの希望を少しでも取り入れた治療が行えるようにすることも薬剤師の重要な役目だと思っています。お薬が増えたことで治療スケジュールも様々になったため、情報を共有しながらスケジュール管理を行っています。

治療法が決まったら、患者さんに服薬指導を行いますが、多発性骨髄腫の患者さんは年齢や全身状態(骨折があるのかどうか、高カルシウム血症があるのかどうかなど)などが様々ですので、患者さんごとに説明の仕方を変えるようにしています。また、ご自宅で飲み薬を服用される患者さんも多いため、きちんとお薬を飲んでいただけるよう、各患者さんに適した方法で服薬の支援を行っています。

治療開始後は、全身状態が悪い患者さんや高齢の患者さんでは、ご自分から「ここが痛い」、「気持ちが悪い」と訴えることができない場合もありますので、私はできるだけこちらからお話しする頻度を増やすなど、工夫するようにしています。特に治療開始後間もない患者さんとは頻回にお話しするように心がけ、症状や体調の変化を聞き取るようにしています。

通院治療を受けている患者さんは、お薬の副作用や体調の変化など、もし気になることがあれば、薬剤師に相談するとよいでしょう。もし、受診日以外にお薬に関して気になることや困ったことがあれば、病院によっては薬剤師(薬剤部門)に直接連絡できる場合もあります。当院の場合は、患者さんからの電話で、「お薬を飲み始めてから、体がかゆいんだけど」、「湿疹が出ているんだけど、どうしたらいい?」といったご相談を受けることがあります。適宜、医師に情報を伝達し相談しながら対応します。症状を伝える際は、“どのような症状が、どのくらい前から、どのくらいの範囲に起こっていて、どの程度困っているのか”を具体的に伝えるとよいでしょう。

また、多発性骨髄腫では自家移植を受ける患者さんも多いのですが、移植は治療の山場です。患者さんがその山を確実に越えられるように、薬剤師は薬物療法の副作用を最小限に抑えるよう、副作用の予防や対策などを行っています。自家移植後は維持療法と言って、治療を継続する場合もありますので、治療中に患者さんの体調に変化がないかどうかを定期的にみる必要があります。移植後、失った体力がなかなか戻らないことに悩まれる患者さんもいらっしゃいますので、聞き取りを丁寧に行います。