治療を続けていく中での検査値を知ろう
検査値を確認する必要がある患者さんの症状
- Q5.
- 訴えがあった場合に、検査値を確認する必要がある患者さんの症状には何がありますか?
- A5.
- 昼間の眠気や夜間頻尿、新たな骨や関節の痛み、激しい下痢、手足のしびれなどの訴えが患者さんからあった場合は、それぞれに関連する検査値を確認します
昼間の眠気や夜間頻尿
血液の中にカルシウムが増えると、眠気が出たり、トイレが近くなったりします。ご家族の方から患者さんについて「最近、昼寝をよくするようになった」、「うつらうつらしていることが多い」、「すぐ寝てしまう」というお話を聞くことがあります。また、「夜中に何度もトイレに起きる」ということを訴えられる患者さんがいます。このような症状が出てきた場合は、「高カルシウム血症」を合併している可能性が考えられますので、血液検査でのカルシウム値を確認します。高カルシウム血症は、多発性骨髄腫の状態が進んだ時に起こりますので、昼間の眠気や夜中に何度もトイレに行くなどの症状が認められたら主治医にお話しするようにしてください。
骨や関節が痛む
多発性骨髄腫は骨折を起こす危険性が高いので、患者さんから、「骨や関節が痛む」という訴えがあった場合は、レントゲンやCTなどの画像検査を追加して状態を確認します。
新しく痛みが出てきた時には、その痛みが骨の異常によるものかどうか、これまでに撮ったレントゲン写真などと比べます。また、施設によって異なりますが、われわれの施設ではレントゲンやCTなどの画像検査は、痛みが続いているようであれば3〜6ヵ月に1回、痛みがなくなれば1年に1回を目安として定期的に行っています。激しい下痢
患者さんが激しい下痢を訴える場合、アミロイドというM蛋白の一部が消化管に沈着することで起こる「アミロイドーシス」という合併症を起こしていることがあります。アミロイドーシスが疑われた際は消化器の専門医に紹介しています。
手足のしびれ
手足がしびれる「末梢性神経障害(まっしょうせいしんけいしょうがい)」を訴える患者さんもいます。その際は、患者さん用の問診票に「しびれの程度」を記入していただくようにしています。訴えのある患者さんには「お箸が持てますか?」と聞いています。手足のしびれは、アミロイドが末梢神経に沈着したことが原因のこともありますし、お薬の副作用であることも考えられます。症状が重い場合にはお薬の投与を中断したり、投与間隔を開けたりして対応しています。
